社長を辞められない!

先日、ある老齢の女性社長から相談を受けました。
「会社を辞めたいんですが、どうすればよろしいでしょうか?」
よくよく事情をお聞きすると、
数年前、創業社長であったご主人が病気で急逝されたとのこと。
亡くなった社長は、後継者を決めておらず誰も社長の引き受け手がないまま専業主婦だった奥様が急きょ社長に就任したようです。
会社は、ある機械部品を製造しているメーカー、かつてはかなり繁盛していたようですが、近年さっぱり受注が減って赤字続き。
決算書を拝見すると、めぼしい資産が無い一方銀行からの借入金が、数億円あります。
未亡人の社長がおっしゃるには、自分は全く会社の経営に関心もないしやりたくもない。
赤字を埋めるために、相続した財産を会社に投入し続けており、このままでは生活費も無くなってしまうとのことでした。
私が示した解決策は、やる気、手腕のある社長を見つけてくること、それができなければ会社、社長ともに自己破産するしかないということです。
厳しいようですが現実です。
今、会社は実質社長が不在の状態です。
放っておいても会社のキャッシュは減る一方、近い将来間違いなく破綻します。
実質債務超過の会社です。
会社を売りに出しても到底売れるとは思えません。
いったいどこで道を間違えてしまったのでしょうか。
私も例外ではありませんが、誰しも自分が健康である限り「死」というものを考えません。
しかし、「死」は誰にでもいつかはやってきます。
場合によっては突然何の前触れもなくやってきます。
経営者は、家族に対してはもちろんのこと、会社の従業員に対してもその生活を保障する責任を負っています。
したがって、ある一定の年齢になったら万が一の備えを怠ってはなりません。
後継者の問題も早めに解決するべきですが、後継者に債務までも引き継ぐべきではありません。
最低限、借入金を返済できるだけの保証の生命保険をかけておくべきです。
「必要補償額」という考え方があります。
家族のあるサラリーマンであれば、ほとんどの方が、ライフプランに基づいた必要補償額の保険に入っていると思います。
本人の年収、貯金、退職金、受給できる年金を前提に、万が一の場合でも子供の教育資金、結婚資金、マイホームのローン返済など重要なイベントと家族の最低限の生活費をカバーできるだけの保険に入りましょうという考え方です。
同じ考え方が会社にも言えます。
社長に万が一のことがあれば、銀行の保証債務が残るのはもちろんのこと、多くの会社では、社長は「ワンマン」であり、
よく言えばトップセールスであるため当面の売上の落ち込みは避けられません。
そのためにも保険金で借入金はもちろん、数か月分の運転資金分、退職金もカバーしたいものです。
最悪、会社清算の結論になっても、従業員に退職金を払い、事務所や工場撤収費用を支払い、もちろん社長の家族にも死亡退職金を支払わなければなりません。
会社では、どのような保険にいくら入れば最適なのか。
保険に詳しい税理士・会計士に相談することをお勧めします。
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この記事の執筆者
梅川公認会計士・税理士事務所 所長 梅川貢一郎
東京都千代田区を中心に活動。得分野は会社設立を含めた起業支援、創業融資、および創業期の企業向け経理・税務・会計サービス。