起業・会社設立時から創業3年未満の社長を徹底サポート。会社設立・創業融資・助成金・税務相談・経理代行・記帳代行・決算対策をトータルで提供する、それが千代田区会社設立&開業相談センターです。
銀行に代表される金融機関は「雨の日には傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」ところです。資金が今すぐ必要という時は、たいていすでに赤字に陥っていて、銀行から借りられない、ということがほとんど。
融資は基本的に過去の決算書に基づいて出されます。しかし、創業時は過去の決算書が無いので誰でも借りやすいのです。「借りられるときに借りておく」「もし必要が無ければ使わなければよい」がお勧め。「必要な時に借りられなかった」というのが一番避けるべき事態なのです。
創業融資の大半は国、あるいは自治体の資金です。聞くところによれば、創業融資の貸倒れ率は50%にも上るといいます。実態としては補助金に近いものがあります。つまり、起業にチャレンジする人を応援するため国が補助金を交付しているようなものなのです。創業を促し、日本経済を元気にするための国策とも言えます。
とすれば、これを利用しない手はありません。私(梅川)は、これまでの経験からも創業時には、創業融資を受けることを積極的にお勧めしています。やはり新規事業を立ち上げるにあたっては、スピードが必要です。時間をお金で買えるのであれば買った方が絶対にいい。経営にレバレッジを利かせるためには、やはり借り入れは重要です。
創業時にはどうしても資金が必要になります。オフィスを借りるにはまとまった保証金が必要です。備品什器もそろえなければなりません。いまや事業を行うにあたってホームページは不可欠です。さらに販売業であれば仕入れ資金が必要です。
売上も最初はゼロから出発して徐々に増えていくのが普通です。十分な売上が確保できるまでの経費の支払いなどもあります。信用がなく前金での取引きを要求されることも少なくありません。
これだけでゆうに数百万円から数千万は必要です。もちろんすべてを自己資金で十分に賄えるのであればいうこと無しです。しかしそれはなかなか困難ですし、リスクも考慮して余裕をもった経営を行おうと思えば、手持ち資金は多いに越したことはありません。
比較的簡単に借りられる創業資金はまさに天からの恵みです。これにも増して私が強調したい借り入れの効用は、経営者に責任感を持たせることです。
確かに創業融資は、100%国の保証ですが、代表者は必ず連帯保証人になります。万が一、事業が失敗し返済困難になれば、社長は自らの資産を差し出し、会社に代わって返済しなければなりません。さもなければ自己破産せざるをえません。これは、たとえ数百万円といえども大きなプレッシャーとなり、より真剣な経営姿勢が求められます。
公庫にせよ銀行にせよ、決算時には必ず毎年決算書の提出を要求します。決算内容が悪くても今は「貸しはがし」はありませんが、それでも経営状況の説明は要求されます。とはいえ、会社の現状と将来の見通しを決算書を通して説明できないようでは、経営者としては失格です。
借り入れをすることによって、社長はいやがうえにも数字で会社を語る能力が要求されます。さもなくば、次の融資は期待できないからです。借り入れは社長の係数能力を鍛えるのです。
2016年現在、ゼロ金利に代表されるよう、融資の借入利息は史上最低の水準です。信用の無い新設法人でも1~2%という低金利で借り入れができます。
100万円借りても支払う利息は、年間で1~2万円。使う目的が無くともとりあえず借りておきましょう。借りることによるリスクはありません。使う目的がなかったら使わずに貯金しておけばよいだけです。
お金を借りて返済だけして何かメリットがあるのか?という質問を頂きます。答えは「あります」です。金融機関は「返済実績」を重凝視します。
一度借りたお金を全額きちんと期日通りに返済しましょう。金融機関は最初の融資を出すときは厳しく審査を行いますが、しっかり返済さえしていれば2度目からは比較的簡単に借りられるのです。
まずは書類を揃えましょう。創業融資に限らず一般的な金融機関の融資なら基本的な話です。
融資の申込みを受けた銀行員の立場に立ってみてください。銀行、公庫、保証協会、どのような組織であれ、融資の申し込みはすべて書類ベースです。すなわち、融資の申し込みを受けた係りは、稟議書という形で上司の承認を受けます。それはさらに上司の承認を受け、最終的に決定権限のある部長、あるいは支店長の承認を得て晴れて融資実行となります。
この過程でのコミュニケーションはすべて「書類」でなされます。いかに素晴らしい計画をプレゼンで語っても、それが書類という形にならなければ、最終的に融資承認が下りることはありません。
極端に言えば、どんなに荒唐無稽な計画でも「書面上で説得力があれば融資はおりる」ということです。つまり、金融機関の担当者の立場に立って、どのような書類を準備すれば上司の承認を得ることができるかを考えることが、融資をスムースに通すコツということになります。
通常の融資の場合、過去3期分の決算書を分析して融資の可否を決めるのが一般的です。しかし、創業融資の場合、過去の実績がありません。では、担当者は何を見て判断するのでしょうか。それは、経営者の過去の実績と、今後の事業計画書の実現可能性です。
一般会社で経理事務しか経験したことのない方が、いきなり焼き鳥屋を経営したいといって融資を申し込んできたらどうでしょう。普通に考えて成功するとは思えません。しかし、経理事務をしながら、日本中の焼き鳥屋1000軒をまわり、どのようなお店が繁盛するかをリサーチし、それをレポートとしてまとめてきたらどうでしょうか?
さらに出店候補エリアを調べ上げ、ライバル店や住民の食生活をリサーチした上で、メニューや価格、立地を決定していることが手に取るようにわかる書類が出てきたらどんな印象を持つでしょうか。
融資の担当者は、その融資が貸倒れたからと言って左遷されるわけでも減給になるわけでもありません。しかし、根拠なく融資を実行したとなれば責任問題に発展します。要は、いかに融資担当者が上司に説明できる書類、資料を準備できるかです。
公庫や保証協会は、融資の申込用紙を用意しています。しかしそれは、最低限度の情報ととらえるべきです。マスコミにとりあげられた、過去に業務の経験がある、人脈がある、商品に特異性がある、なんでも結構です。
とにかく融資に有利になると思われる資料、記事、文書はすべて添付しましょう。それが融資を引き出す大きな武器になるかもしれません。
創業融資では、原則自己資金の3倍までが借り入れできる金額の上限となります(実際には2倍くらいが限度)。
もし1,000万円必要であれば、自己資金を300万円以上は準備する必要があります。
ここで注意しなければならないのは、公庫も保証協会も自己資金の「実在性」を確認します。具体的には、資本金など自己資金が入金されている通帳の提出を求められることがあります。
その資金が他人から振り込まれている場合は、振り込んだ人とはどのような関係なのか、返済の予定はあるのかなど質問されます。返済予定のあるお金は自己資金として認められませんので注意が必要です。
銀行に融資を申し込む際、特に新規で融資を申し込む際には、銀行に必ず決算書には現れないプラス要素を書いて提出しましょうと勧めています。借り入れできる金額、金利が明らかに有利になりますから。
典型的なものとして、節税目的で加入した保険契約があります。かつては、支払った保険料の全額が損金で処理できて、しかも何年間か支払って解約するとほぼ支払った保険料の全額が返戻されるという商品がありました。実際、利用している会社も多いのではないかと思います。
年間100万円の保険料を10年間支払っていれば、解約返戻金が1000万円近くになります。これは、会社の大きな資産ですが決算書には何も載りません。当然、銀行はそのような資産があることを知りようもありません。そこで保険会社に今解約すると返戻金がいくらか問い合わせれば教えてくれますし、文書でも出してくれます。これを決算書と一緒に銀行に提出するべきです。
似たような例では、中小企業倒産防止共済があります。現在の制度では、掛け金を最高800万円まで支払うことができ、法人税法上全額を損金にできます。しかも契約から40か月以上経過して解約すればほぼ100%掛け金が戻ってきます。しかしこれも簿外資産なので決算書には載りません。もし加入していたらその契約内容を銀行にしっかりと開示するべきです。
さらには、個人資産があります。銀行が会社の格付けを行う際、従わなければならない金融検査マニュアル中小企業編には、中小企業を評価する場合は、経営者の資産も合わせて考慮すると明記されています。
社長は当然、融資の際には連帯保証人になりますし、中小企業では会社が資金難の時には社長が自らのお金を会社に貸すのが普通です。したがって銀行は社長個人の資産も考慮します。しかしこれも社長自らが資産状況を開示しなければ銀行はわかりません。自宅が自己所有の場合は、ローンの有無とその残高。投資信託や株を所有している場合はその明細を証券会社から出してもらって提出します。
たまに自分の資産を銀行に知らせると、万が一の場合すべて差し押さえられるので危険ではないか?と心配される方がいます。私が知る限りそのような心配は無用です。
借り入れをしている銀行の預金口座が封鎖され、貸金と相殺される場合はあります。
しかしいきなりその他の個人財産まで差し押さえられることはありません。その他にも客観的に評価できる資産があれば書面でしっかり開示しましょう。
当然の結論として、公的機関が行う制度融資としての創業融資と日本政策金融公庫が行う創業融資の利用です。
民間の金融機関は、「実績ない、保証人いない、担保ない」とないないづくしの新設法人に融資などしません。たしかにローンといえば自動車ローンか住宅ローンしか借りた事のない経営者にとって、事業資金の融資の申し込みは敷居が高いと思われるかもしれません。
しかし、心配ご無用。創業計画を中心としたしっかりとした「書類」を整えさえすれば創業融資を得る事は難しい事ではありません。
私は過去100件近く日本政策金融公庫の融資申し込みのお手伝いをさせていただいています。そこで何点か日本政策金融公庫の国民生活事業の特徴をお知らせしたいと思います。
まずは、なんといっても国策会社ですから普通の民間の金融機関では融資が出ない会社でも融資をしてくれます。3期連続赤字、債務超過の会社でも融資をしてもらえたことがあります。もちろんそれなりの事業計画は作りましたが。
その反面、民間の金融機関ではありえないのは、社長個人の預金通帳を要求される。会社のメインの預金通帳も確認される。クレジットカードの利用やノンバンクからの借り入れ、サラ金ややみ金の利用の有無。公共料金や家賃の支払い状況も確認しているようです。
信用保証協会が個人信用情報をあまり問わないのとは逆に、日本政策金融公庫はかなり社長個人の信用情報を重視するようです。それゆえ、個人の信用が認められると会社の信用を度外視してお金を貸してくれるようです。
また、あまり知られていませんが、日本政策金融公庫は個人に対する教育資金を融資してくれます。個人信用情報に問題さえなければほぼ100%融資が出ます。さらに国民生活事業の特徴としては、決算書に多少の粉飾(?)があってもあまり問題にしないことです。
そもそも中小零細企業の決算書はある程度のお化粧は当たり前と思っているのかもしれません。もちろんあからさまな粉飾は問題外です。
ちなみに公庫では絶対にやってはいけないのが「延滞」です。良くも悪くもお役所です(株式会社ですが)。民間の金融機関や信用保証協会では、うっかりしましたですむ数日の延滞でも日本政策金融公庫はNGです。
私の知る限り、追加融資を断られたケースは延滞です。約定日は要注意です。その代り、返済を期日通りに行うと決算内容にかかわらず融資金の80%くらいを返済すると「追加融資はいかがですか」というお知らせが来ます。こんな親切な金融機関は他にはあり得ません。
さらに業種的には、飲食・美容・理容業には支援が厚いようです。通常、事務や営業のサラリーマンが脱サラをして飲食業を開業する場合、お金を貸してくれる金融機関はありません。
銀行融資借り入れをするために銀行あるいは信用金庫に申し込みに行くと、初めての融資の場合、まず間違いなく信用保証協会の保証付き融資を勧められます。各自治体が行っている「創業融資」も実はすべて保証協会の保証付きになります。保証協会の審査が通らなければ、創業融資の半分(もう半分は公庫)は目が無くなります。
では、信用保証協会とはなんなのか?みなさんご存知でしょうか。
まず、信用保証協会は公的な機関であるということ。信用保証協会法に基づいて設立された公益法人です。全国の都道府県と主要都市に52か所設立されています。日本政策金融公庫と並んで中小企業向けの融資の保証を行っています。
銀行など民間の金融機関は、融資の焦げ付きを最も恐れるので、新規の融資、あるいは売り上げ規模の比較的小さい会社に対してはまず間違いなく信用保証協会の保証を求めます。
万が一、融資金の回収が困難になった場合には信用保証協会が融資金の肩代わりをしてくれるからです。貸し手の金融機関にとっては本当にありがたい存在だと思います。
では、借り手である企業にとってはどうでしょうか。本来、プロパー(金融機関の直接融資)では貸してもらえない融資を受けることができるので、まずはなくてはならない組織です。
しかし、融資に際しては「保証料」を取られます。融資金額の1%以上かかりますから、ばかにならない金額です。次に信用保証協会は公的な税金で賄われている機関なので、税金の滞納がある場合は保証が得られません。
会社の税金はもちろんですが、場合によっては社長個人の住民税が未納の場合も保証が得られません。また、融資金の返済が滞った場合、通常3か月分返済が滞ると、代位弁済と呼ばれますが、信用保証協会が融資金の残債を金融機関に支払い、信用保証協会が金融機関に代わって融資金の回収を行います。
金融機関のプロパー融資の場合、回収が困難な場合、最終的な手段として貸付金の債権放棄が行われます。しかし信用保証協会の場合、何が起ころうとも債権放棄はあり得ません。債務者、連帯保証人は破産手続きをしない限り一生涯、信用保証協会からの取り立てを受けます。
また、一度破産をして信用保証協会に迷惑をかけると二度と信用保証協会の保証を受けることができません。その一方、日本政策金融公庫は保証する社長の個人情報を重視し、クレジットカードで過去に事故があると断られる場合が多いのですが、信用保証協会は個人情報を取らないようです。
基本的に社長個人の信用状況はあまり問われません。では、信用保証協会はいくらまで保証してくれるのか。一応、無担保で8000万円まで保証してくれることになっています。しかし、すべての会社が8000万円の保証を得られるわけではなく、一般的には月商の3~6か月分と言われています。設備資金の場合は運転資金も含めても年間売上額がマックスのようです。
ところで、信用保証協会の窓口に直接融資の保証を申し込むことはできるでしょうか。実はできます。金融機関に融資を申し込んでも受け付けてもらえない場合があります。その場合、ぜひ地元の信用保証協会を直接訪ねてください。その際には、通常の申込書類の他に、事業計画書、資金繰り予定表、会社の事業をアピールする資料を添えると保証を受けられる可能性が増します。
信用保証協会の保証をもらってから金融機関に融資の申し込みに行けば100%融資を受けられます。
最後に、金融機関が融資を行うに際して信用保証協会の保証を条件に付けるということは、要は、金融機関はあなたの会社を信用していないということです。信用保証協会の保証なしで融資を受けられるような素晴らしい財務体質の会社を目指しましょう。