奥さまを役員にしてみたら
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中小企業の節税で最もポピュラーな方法の一つが家族を取締役など役員にするということです。
個人事業でも青色専従者の給与というものがありますが、事前に税務署に支払う金額、行う職務などを届け出る必要があります。
しかもあくまでも労務の対価なので、給与扱いです。
同じ職務をおこなっている従業員と同額程度しか認められません。
その点、株式会社の役員は、会社と雇用関係にあるわけではありません。
会社とは委任契約にあり、経営に参画することにより報酬を得ます。
会社の業績が良ければ、それに応じてふさわしい報酬を得ることもできます。
家族、特に社長の奥様を役員にすることは、役員報酬を支払って所得の分散を図り支払う所得税の金額を節税する効果があります。
それだけではありません。
通常、専業主婦の奥様は収入がないので財産形成をする手だてがありません。
いざという時、例えば社長に万が一の場合、財産が分散されていれば相続税の支払いの上でも有利になります。
また、逆に会社に万が一のことがあって、自己破産の憂き目にあっても債権者は奥様が連帯保証さえしていなければその財産にまで手を出せません。
私は、社長と奥様の共有で投資用不動産を購入するのもいいのではないかと思います。
さらに、当然のことながら奥様が役員を退任するときには退職金を払うことができます。
退職所得は、税制上も優遇されるので、資産を移転するにはうってつけです。
しかし、いい話ばかりではありません。
こんなおいしい話、税務署が黙って見過ごすわけがありません。
税務調査が入って場合には、まず間違いなく突っ込まれると思って間違いありません。
過去の判例でも社長の家族の役員報酬が税務上の損金に当たらないとして否認された例が多くあります。
ただし、私の経験では税務署もある程度は黙認してくれます。
たとえ奥様が会社に出勤した事実がなくとも、取締役会議はどこでも開けます。
毎月、自宅の居間でも開けます。
奥様は会社経営の経験もないのに何を討議しているのですかといわれても、作り話を用意しておけば、いくらでも抗弁できます。
ただし、書類、すなわち取締役会議事録だけは作っておくべきです。
最悪、役所は決め手として物的証拠を重要視します。
なにも証拠がありませんでは、当の税務職員も引っ込みがつかないようです。
もちろん金額も重要です。
私のお客様で、売上10億円、経常利益5千万円、従業員も数十名いる会社で、社長の報酬3000万円、奥様の報酬500万円という例がありました。
税務調査を2回経験しましたが、奥様の役員報酬は一度も問題になりませんでした。
一方、不動産売買を営む社長一人の会社で、会社の利益0、社長の報酬3000万円、奥様の報酬500万円という例もありました。
こちらは相当もめました。
やはり露骨すぎたのでしょう。
結局、否認はされませんでしたが、一筆書かされ、次回の税務調査までには是正しますと約束されました。
その会社もいまは残念ながら業績が悪化して、奥様に報酬を支払う余裕がなくなってしまいましたが。
会社経営を初めてある程度儲けが出るようになったら奥様を役員にするのも、節税が露骨すぎなければ有効な手段です。
しかしくれぐれも全額お小遣いとして使ってしまわないように!
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この記事の執筆者
梅川公認会計士・税理士事務所 所長 梅川貢一郎
東京都千代田区を中心に活動。得分野は会社設立を含めた起業支援、創業融資、および創業期の企業向け経理・税務・会計サービス。