詳細な決算書の効用
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私は、公認会計士としての仕事柄、上場会社の有価証券報告書を目にすることがよくあります。
もちろん上場会社が有価証券報告書で最低限記載しなければならない事項は法律等で定められています。
しかし、自らの会社の情報を投資家等にどれだけ公開するかは会社によって大きな温度差があります。
ある会社の有価証券報告書は数百ページに及び、法定で最低限決められた事項はもちろん、さらに投資家や利害関係者が興味を持つであろう、会社が抱える課題やその解決法、事業部門別の決算書など様々な情報を盛り込んでいます。
一方では、本当に法律で決められた最低限の情報しか開示しない会社もあります。
さて、株主としてはどちらの会社に好意を持つでしょうか。
当然、良い情報も悪い情報も詳細に説明している会社に信頼感を持つと思います。
上場していない中小企業には関係のない話さ。
ということではありません。
実は私の知る会社では、上場も何もしていない普通の中小企業ですが、相当分厚い決算報告書を作成しています。
3月決算なので今まさに決算書を作成中ですが、通常の損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの他に、
決算書を補足する説明として、
簿外に積み立てている生命保険の金額、所有しているゴルフ会員権の時価。
それだけではありません。
決算書では分からない情報として
製造業なので、独自に開発した技術の内容やその特色、新たに開拓した得意先、新製品の情報なども公開します。
さらに、会社が現在どういう課題に直面していてそれに対してどのように対処しようとしているか。
この一年での経営活動の総括や今後の営業展開の方針や従業員に対する教育方法も書かれています。
この会社の社長は、なぜこのような詳細な情報を載せた決算報告書を作成しているのか。
実は最初は銀行対策でした。
リーマンショックで売上が半減してどうしても銀行融資が必要であったため、「赤字でも借りられる決算書」を作成し始めたのです。
しかし今は銀行へはもちろんですが、主要な取引先や従業員にも公開しています。
会社の内容を良く知ってもらうことが、経営への信頼感を増すことが分かったからです。
さらに社長は、自分自身の一年間の経営への振り返りになるし、現状をよりよく把握するのに役立つ。
社長としての責任感が強くなったと言われています。
実は、私も銀行対策として決算書には現れない自社の強みを補足することを勧めてきましたがそこまで目に見えない効果があるとは気が付きませんでした。
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この記事の執筆者
梅川公認会計士・税理士事務所 所長 梅川貢一郎
東京都千代田区を中心に活動。得分野は会社設立を含めた起業支援、創業融資、および創業期の企業向け経理・税務・会計サービス。